政府の「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」(座長=本橋豊自殺総合対策推進センター長、写真)が5日に初会合を開き、自殺対策基本法(用語解説)に基づき策定される「自殺総合対策大綱」の見直しに向けた議論を始めた。今年度内をメドに報告書を取りまとめ、来夏に改正大綱を閣議決定する。
警察庁によると、1998年に3万人を超えた自殺者数は、2012年に3万人を下回り、15年には2万4025人まで減少。現行の大綱で掲げる「16年までに05年比で自殺死亡率を20%減らす」との目標は達成されたが、いじめ、過重労働、経済的困窮などによる若年層の自殺が大きな問題となっている。
会合では、長瀬輝誼構成員(日本精神科病院協会)ら複数の構成員が、10代後半~20代の自殺について詳細な統計と重点的な対策を要望した。
鈴木晶子構成員(インクルージョンネットかながわ)は、「都市部では単科のメンタルクリニックに通う患者が多く、地域の支援員と精神科の連携がとりにくい」との問題点を指摘。生越照幸構成員(ライフパートナー法律事務所)も「精神科医と地域の社会資源のつながりを強化する方策を探るべき」と述べた。
五十嵐千代構成員(東京工科大)は、20代の過労自殺防止を課題の1つに挙げ、ストレスチェック制度の義務対象となっていない従業員50人未満の小規模事業場を含めたメンタルヘルス対策の強化を求めた。