「新生児マススクリーニング(newborn screening:NBS)」とは,知らずに放置すると障害の出てくるような先天的な代謝異常症を新生児期に発見し,介入することで障害の発生を予防するという公的な事業である。最近,NBSにタンデムマス法という新技術が導入されて,対象疾患が飛躍的に拡大した。しかし,その対象となるのは超稀少疾患であり,「陽性者」の診断,治療等に戸惑うことが多く,新技術の精度管理体制も必要になった。また,NBSの持つ課題も顕在化してきた。
そこで,「新生児マススクリーニングの今」という小特集を企画した。新しい体制の概要,陽性者に対する診療体制,および発見された患者の食事療法に必要な治療用特殊ミルクの安定供給,患者登録・長期追跡体制の問題などを取り上げて解説した。
1 タンデムマス法を導入した新生児マススクリーニングの新しい体制
島根大学医学部小児科特任教授 山口清次
2 新生児マススクリーニング対象疾患の診断と治療
国立成育医療研究センター研究所マススクリーニング研究室室長/広島大学医学部小児科客員准教授 但馬 剛
3 治療用特殊ミルクの現状と安定供給上の問題点
仙台市立病院副院長・小児科部長/日本小児連絡協議会治療用ミルク安定供給委員会委員長/ 代謝異常児等特殊ミルク供給事業安全開発委員会委員 大浦敏博