国立感染症研究所は13日、2017年第1週(1月2~8日)の定点当たりのインフルエンザ報告数が10.58となり、今季初めて注意報レベルの10を超えたと発表した。定点報告数を基に推計した1週間の受診者数は、前週の約59万人から大きく増加し、約81万人となった。
直近5週間のウイルス検出状況をみると、A香港型(AH3亜型)の検出割合が最も多く、次いでB型、AH1pdm09の検出割合が同程度となっている。
高齢者がA香港型に罹患すると、肺炎球菌などによる細菌性肺炎の合併を起こして重症化することが知られているが、けいゆう病院の菅谷憲夫氏は「今季は高齢者に対するワクチンの効果には期待できない」と話している。
A香港型に対するワクチンの発病防止効果は、一般的に、健康成人で高くて30%、高齢者では20%程度と言われており、B型(50~60%)などと比べて低い。A香港型は2年前にも世界的に流行したが、当時のデータから考えると現実には効果はもっと低くなり、高齢者にはほとんど効かないかもしれない。ウイルスに変異が加わると、健康成人を含めてさらに効果は落ちるだろう。
つまり、今季はワクチンを接種した人も安心できない。タミフルの予防投与などに取り組んでいる医療機関もあると思うが、医師・看護師にもワクチンが効かず、例年より院内感染が発生しやすいことに十分注意してほしい。