涙道閉塞に対する治療のゴールドスタンダードは,20世紀初めに報告された涙囊鼻腔吻合術鼻外法(Ex-DCR)である。これは涙囊と鼻腔の間の上顎骨,涙骨を一部除去して,涙囊・鼻腔粘膜を吻合するバイパス治療である。治療成績に優れているが,顔面の皮膚切開や骨の削開が必要で,整容面や侵襲性に問題がある。
近年,涙道の分野でも医療の進歩に伴い,低侵襲手術の実施が可能となっている。19世紀末に報告された,涙囊鼻腔吻合術鼻内法(Endo-DCR)は当初,治療成績で鼻外法に及ばなかったが,2000年代の硬性鼻内視鏡の登場や手術器具の改良により,現在では鼻外法と比較して遜色のない手術成績が報告されている1)。特に顔面皮膚の切開が不要なため短時間ですむことから,この術式を好む術者が増えている。ただ,骨の削開は必要で,侵襲性の問題が残されていた。
一方,閉塞部位を開放して生理的な涙液排出を再建する涙管チューブ挿入術がある。皮膚切開や骨の削開などの侵襲的操作が不要で,簡便に施行できるように改良が施され,1990年代からわが国で普及した。しかし,閉塞部位の開放,チューブ挿入が盲目的であるため成功率が低く,適応患者は限定的であった。ところが,2000年代に涙道内視鏡の開発により盲目的操作が排除され,治療成績が大幅に改善し,適応患者も拡大した。術者・患者双方の負担軽減が可能で,治療だけでなく診断や術前検査にも応用でき,涙道内視鏡は今後ますます重要になってくると思われる。
【文献】
1) 鈴木 亨:眼科手術. 2011;24(2):167-75.
【解説】
鎌尾知行 愛媛大学眼科