(質問者:高知県 F)
心房細動に対して除細動を行ったあと血栓ができるのは,「スタニング」と呼ばれる左心房収縮不全状態によると考えられています。私たちの持ちやすいイメージは,「これは電気ショックを与えたことによる心筋の麻痺状態だ」というものです。そのため,「電気的除細動と薬理学的除細動は異なる」という理解になりやすいのだと思います。
しかし,数々の臨床研究の結果,スタニングは電気的除細動でも薬理学的除細動でも,あるいは自然停止した場合でも生じることが明らかとなっています1)。スタニングが生じる理由は,心房細動中に起こる心筋自体の変化にあると考えられています。たとえば,動物実験ではペーシングにより心房細動を誘発し9~23週間持続させたところ,心筋のサイズは2倍になりました。このような心筋では筋原線維の減少とグリコーゲンの蓄積が生じているとされます2)。そのために,心筋の「冬眠状態」が生じてしまうのです。
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