厚生労働省の「新型インフルエンザ対策に関する小委員会」の作業班は3日、富山化学工業の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)について、政府が新型インフルエンザ対策として備蓄すべきとの認識で一致した。
政府は現在、新型インフルエンザのパンデミック対策として、ノイラミニダーゼ阻害薬4剤(タミフル、ラピアクタ、リレンザ、イナビル)を計5650万人分備蓄することとしている。作業班では、これら4剤に対して耐性化したウイルス株の出現リスクは「低いが可能性は否定できない」とし、4剤と作用機序が異なるアビガン備蓄の必要性を指摘。
投与対象者については、胎児に対する催奇形性への懸念から妊婦への投与は原則禁忌とし、重篤度が高い新型インフルエンザが発生した場合、ノイラミニダーゼ阻害薬4剤すべてに耐性化した場合に限定。安全性・有効性に関するデータが限定的であることから、投与は免疫抑制患者等のハイリスクグループの成人で重篤な患者に限定すべきとした。
厚労省は今後、アビガンの安全性・有効性の懸念点を踏まえ、新型インフルエンザ発生時の使途や対象者を示すガイドラインを作成する方針。