1990年代に窒素含有ビスホスホネート製剤のプロトタイプであるアレンドロネートが登場して以降,骨粗鬆症による骨折は,適切な治療により予防可能な時代を迎えている。アレンドロネートの成功に触発され,優れた骨粗鬆症治療薬の開発が進み,既に多くの薬剤が臨床の現場に登場している。しかしながら,既存の治療による骨折抑制効果はせいぜい50%であり,長期治療による弊害の懸念も相まって,新たな治療薬の開発が望まれている。アレンドロネートの成功は,骨代謝とその障害に対する強い関心を呼ぶことにもつながり,骨代謝領域の研究が飛躍的に進展した。その結果,骨代謝における鍵分子をピンポイントで制御する薬剤が開発され,骨折予防をめざした臨床研究が進められている。本特集では「進化する骨粗鬆症治療」という主題のもと,骨粗鬆症治療の現状と課題をふまえて,現在開発中の分子標的治療薬を中心に,さらなる高みをめざした臨床研究の現状をご紹介したい。
1 骨吸収抑制薬による骨粗鬆症治療の現状と課題
虎の門病院内分泌センター部長 竹内靖博
2 骨形成促進薬の展望
徳島大学藤井節郎記念医科学センター長 松本俊夫
3 カテプシンK阻害薬による骨粗鬆症治療の可能性
国立国際医療研究センター病院院長 中村利孝