全身性強皮症は自己免疫を背景に,皮膚および内臓諸臓器の線維化,血管病変によって特徴づけられる膠原病である。本症は組織障害が徐々に蓄積し,重篤な多臓器障害へと至るため,早期の治療開始が必要である。これまで皮膚硬化を認めない早期例の診断は専門医でなければ困難であったが,2013年に早期例も含めて高い感度(91%)と特異度(92%)を有するACR/EULAR新分類基準(下記)が発表された1)。
1)両側MP関節より中枢の皮膚硬化(9点)
2)手指皮膚硬化:腫脹のみ(2点),PIP-MP関節間の皮膚硬化(4点)
3)指尖部病変:潰瘍(2点),陥凹性瘢痕(3点)
4)毛細血管拡張症(2点)
5)爪郭部毛細血管異常(2点)
6)肺高血圧症/間質性肺炎(2点)
7)レイノー現象(3点)
8)抗セントロメア抗体,抗トポイソメラーゼⅠ抗体,抗RNAポリメラーゼⅢ抗体(3点)
判定:9点以上で全身性強皮症と診断
新分類基準ではレイノー現象や爪郭部毛細血管異常など早期から認める症状が項目に追加され,従来の分類基準で診断できなかった早期例に対する感度が向上している。当科の早期例でも感度90%と早期診断に有用であった2)。
新分類基準により全身性強皮症の早期診断が容易となった。
【文献】
1) van den Hoogen F, et al:Ann Rheum Dis. 2013; 72(11):1747-55.
2) Ikawa Y, et al:Modern Rheumatol. 2016 Nov 14:1-4. [Epub ahead of print]
【解説】
松下貴史 金沢大学皮膚科講師