措置入院の制度改革をテーマとしたシンポジウム(主催:日本弁護士連合会)が6日に開かれ、薬物依存症を専門とし、厚生労働省の相模原障害者施設殺傷事件の検証・検討チーム構成員を務めた松本俊彦氏(国立精神・神経医療研究センター、写真)が「措置入院制度に病院から独立した権利擁護(アドボカシー)の仕組みを盛り込むべき」と訴えた。
松本氏は措置入院の医療内容について、「隔離室や四肢・体幹の抑制は、すべての患者に必要なことではないが、マンパワー不足から患者の状態を十分に把握しないまま実施せざるをえない現状がある」と指摘。措置入院が多くの患者のトラウマになっていることを問題視し、「入院中や退院後の支援として、病院から独立した権利擁護の制度が必要」とした。精神科医療が“薬物療法偏重”になりやすい理由もマンパワー不足にあるとし、「マンパワーが十分あれば、暴力は抑制され、薬も減る」と強調した。
権利擁護の仕組みについては、講演した弁護士や会場の患者団体からも導入を求める声が上がった。
松本氏はまた、措置入院医療を担う医療従事者の姿勢について、「統合失調症で2カ月入院する予定の患者に薬物反応が出ると治療に対する士気が一気に落ち、早期退院に舵を切る」といった実例を交えつつ、措置入院患者と早く手を切ろうとする傾向があると紹介。「今後の生活を一緒に考えてみようというスタンスを入院期間中にも患者に示すことが必要」と話した。