厚生労働省は3月29日、「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」(座長=赤池昭紀名大教授)の初会合を開催した。製造から販売に至るまで一貫した偽造医薬品対策を法令対応も含めて議論し、直ちに行うべき対策を今夏に取りまとめる。
検討会はC型肝炎治療薬ハーボニーの偽造品が薬局や卸売販売業者から発見された問題(用語解説)を受けて設置された。構成員は薬剤師や卸売販売業者、製薬企業の代表者や有識者など16名で構成。医療団体からは日本医師会の羽鳥裕常任理事が参加している。
会合で羽鳥氏は「いわゆる現金問屋が存在していいのか」と問題提起。「余った薬を買い取るような仕組みが許されていることが間違っている。買い取りをなくす方策を考えないといけない」と訴えた。
日本医薬品卸売業連合会の一條宏氏は、卸売販売業者の免許の基準を厳格化する必要性を指摘。「現状では、営業所の構造設備や薬剤師による管理という基準を満たせば、(今回の事案のように)出所不明の医薬品を扱うところも免許が与えられている」と問題視した。さらに、大多数の卸売販売業者は製薬企業と情報を共有する仕組みを構築していることを説明し、「いわゆる現金問屋はトレーサビリティー(生産履歴管理システム)が確保できておらず、こうした流通をなくしていくことが大事」と指摘した。
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