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高齢者に対する眠剤 【より安全性が高いとされる,作用機序の異なる新たな眠剤(メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬)の登場】

No.4851 (2017年04月15日発行) P.55

栁川まどか (名古屋大学医学部附属病院老年内科)

登録日: 2017-04-11

最終更新日: 2017-04-10

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高齢者は,加齢により早朝覚醒・中途覚醒の頻度が増え睡眠時間が減少するが,その原因は体内時計の調節機能低下にあると考えられる1)。眠剤としてはベンゾジアゼピン(BZD)系薬剤,非ベンゾジアゼピン(非BZD)系薬剤が多く処方されてきたが,2014年にメラトニン受容体作動薬,15年にオレキシン受容体拮抗薬の国内販売が新たに開始された。BZD系薬剤は多くの種類が発売されているが,中には長期服用により耐性,依存性を生じている高齢者も多く,認知機能への影響も危惧される2)。非BZD系薬剤は,BZD系薬剤に比較すると筋弛緩作用は弱く,転倒リスクが低く安全性は高いが,耐性や依存性が指摘されている。

新たに発売されたメラトニン受容体作動薬は,BZD系薬剤に比べると耐性や依存性はなく,副作用も少なく安全性が高いとされる。松果体から放出される睡眠ホルモンであるメラトニンと同様にメラトニン受容体を刺激することで睡眠を促す。一方,オレキシン受容体拮抗薬は視床下部から放出される覚醒ホルモンであるオレキシンを阻害し,覚醒レベルを低下させることで眠りに導く。やはりBZD系薬剤に比べ耐性や依存性が少なく,日中への持ち越し効果は小さいとされる。ただし,新たに発売されたこれら2つの薬剤は,高齢者への安全性や有効性に対するデータが乏しいのも現状であり,今後のデータの蓄積が望まれる。

【文献】

1) 日本老年医学会, 編:高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015. メジカルビュー社, 2015, p44-6.

2) Zhong G, et al:PLoS One. 2015;10(5):e012 7836.

【解説】

栁川まどか 名古屋大学医学部附属病院老年内科

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