厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(桃井眞里子部会長)は10日に会議を開き、2103年から続くヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の積極勧奨の差し控えを継続する方針を示した。
同日の会合では、厚労省研究班(代表者=祖父江友孝阪大教授)が実施したHPVワクチンの有効性と安全性の評価に関する全国疫学調査の結果を巡り、議論が行われた。祖父江氏は、HPVワクチンの副反応症状の1つの特徴とされる「多様な症状」について、有訴率の分析では「接種歴なし」の場合でも10万人あたり5.3人存在し、「接種歴不明」の取り扱いによっては「接種歴なし」と「接種歴あり」の有訴率が逆転する場合があったと説明。「接種歴なし」と「接種歴あり」で年齢分布が極端に異なることなどから、接種の有無別に多様な症状の有訴率や内容を比較することは困難と指摘した上で、接種歴のない患者においても同様の症状を有する患者が、「一定数存在した」との結論を示した。
調査結果を受け、複数の委員からワクチン接種と症状の因果関係を疑問視する声が上がったが、祖父江氏は「疫学研究では限界がある」との見方を示した。部会終了後記者団の取材に応じた桃井氏は、「(積極勧奨)再開までの期間は想定できない」とし、部会で指摘のあった接種歴の有無で重症度に違いがあるのかなど、「さらなる医学的な検討が必要」との考えを示した。