緑内障はわが国における失明原因第1位の疾患である
緑内障による失明予防には早期発見が重要である
光干渉断層計(OCT)を中心に緑内障の検査機器はこの10年で飛躍的に進歩した
緑内障は,わが国の失明原因第1位の疾患であり,世界中でも失明原因第2位の疾患である。日本眼科医会の報告によれば,国内の視覚障害者数は約164万人に上るとされ,社会的コストは年間8.8兆円,2030年には年間11兆円規模まで増加すると試算されている。国民の健康維持および莫大な社会的コスト増大の抑制を行う上で,緑内障の疾患進行抑制および予防は大変重要な課題である。
緑内障は,眼底の構造変化および特徴的な視野変化により診断・進行評価されてきた。緑内障による視野障害は現時点の医学レベルでは不可逆的であり,早期の診断・治療が失明回避には重要である。
近年,緑内障の構造変化をとらえるための検査機器が急速に発展し,注目を集めている。本稿では,飛躍的な進歩を遂げた光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)を中心に,緑内障検査機器の現状について解説する。
わが国で実施された緑内障疫学研究報告1)2)では,緑内障は加齢とともに有病率が増加し(図1),40歳以上の全緑内障有病率は5.0%で,中でも原発開放隅角緑内障が3.9%と最も多い。この原発開放隅角緑内障の中で眼圧値が20mmHg以下の正常範囲のものが正常眼圧緑内障(normal tension glaucoma:NTG)と定義されているが,NTGの有病率は3.6%であった。
日本人においては緑内障の7割以上がNTGで占められており,眼圧値は診断・進行評価をする上で重要な因子の1つではあるが,眼圧値だけで緑内障を診断(特に否定)することは難しいと考えられている。
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