診断群分類(diagnosis procedure combination:DPC)は2010年点数表では2658分類,2012年点数表ではさらに増えて2927分類になった。しかし,そのすべてが包括払いの対象となるのではなく,包括払いの対象となるのは20例以上あることが条件となる。そのため,2012年度の場合,包括払い対象は2241分類となっている。件数割合でいうと,DPC対象患者の97.8%に当たる。主要診断群(MDC)別にみると,耳鼻咽喉科系疾患(MDC03)ではほとんどすべての患者が包括払い対象となった(表1)。
DPC導入の影響評価調査(以下,便宜的に「DPCデータ」と呼ぶ)の対象となるのは包括払いのみなので,以下すべてのデータは包括対象となった2010年7月~2013年3月の33カ月間の述べ2356万4629件に関するデータである。
性・年齢階級別内訳は表2の通りで,男性がやや多くなっている。
死亡退院割合は3.61%であった。しかし年齢階級が高くなると死亡率も高くなり,80歳以上では6.17%が死亡退院であった。ただ,死亡を医療資源病名による死亡とそれ以外による死亡とにわけると,医療資源病名以外による死亡割合はどの年齢階級でも一定であった(表3)。
死亡退院率は40歳以上で上昇する。医療資源病名外による死亡率の割合は,年齢階級にかかわらず4分の1程度でほぼ一定している(図1)。
死亡率上位10位のDPCを示す(表4)。くも膜下出血でJCS30以上のケースでは,4220件中4015件(95.1%)が死亡退院であった。
入院数と患者数
死亡退院率等の病院指標で注意すべきことは,分母が入院数(admission-based)か患者数(patient-based)かの区別である。人間は二度死ぬことはないので分子の死亡退院数は不変であるが,分母が入院数か患者数かで死亡退院率は左右される。
ある患者が心筋梗塞を発症してA病院に入院し,1週間後にB病院に転院して死亡した場合,患者数を分母とする入院後30日以内死亡退院率は100%だが,入院数とすると死亡退院率は50%となる。むろん分母は患者数を使うのが理想だが,そのためには氏名や背番号等を用いて「名寄せ」をする必要があり,OECD加盟国といえどもそうした統計を出せる国は限られる。
わが国の患者調査もDPCデータも分母は入院数であって患者数ではない。観察期間が長くなると同一人が2回以上入退院を繰り返す割合が大きくなるので,死亡退院率は分母に患者数を用いた場合に比べてみかけ上小さくなる点に留意が必要である。OECD Health at a Glance 2013年版は両方のデータを掲載しており,心筋梗塞入院後30日以内院内死亡率は分母が患者数の場合,加盟国平均は10.8%, 入院数の場合は7.9%となっている。
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