厚生労働省は19日、再生医療を提供する医療機関で治療に用いる細胞の汚染防止の徹底を求める注意喚起を、近日中に行う方針を明らかにした。細胞投与液の細菌汚染が原因と疑われる入院症例の報告を受けた対応。
同省によると、都内のクリニックで2月に再生医療による治療を受けた男性患者が細胞液の投与後に急変し、近隣の大学病院に救急搬送。患者は数日間入院したという。治療に用いた細胞投与液の検査では、アナフィラキシーの原因物質などについては陰性だった一方で、皮膚常在菌のアクネ菌が検出されたことなどから、クリニックは再生医療等安全性確保法の規定に基づき、地方厚生局などに「敗血症」と報告した。
細胞汚染が原因と疑われる重大事態の報告は初めて。報告を踏まえ、同日に開かれた厚生科学審議会再生医療等評価部会は対応を審議。委員からは、細胞の汚染防止に向け、①治療までのプロセスの管理、②治療提供後の十分な経過観察、③汚染防止の限界に関する患者への説明─などを徹底すべきとの意見が出され、同省が注意喚起を行うことで一致した。