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心肥大の鑑別診断【既往・家族歴の聴取,心外症状の有無,心電図・心エコー検査,眼底検査等から鑑別】

No.4855 (2017年05月13日発行) P.52

山下武志 (心臓血管研究所所長)

北岡裕章 (高知大学医学部老年病・循環器内科教授)

登録日: 2017-05-10

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  • 高血圧のない心肥大は,多くの場合「特発性肥大型心筋症」と安易に診断されてしまうことが多いように思います。特発性肥大型心筋症と診断する前にどのようなプロセスの除外診断が必要でしょうか。また,高血圧が存在する場合,その関与をどのように評価すべきでしょうか。
    高知大学・北岡裕章先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    山下武志 心臓血管研究所所長

    【回答】

    肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)は,心筋のサルコメア構成蛋白における遺伝子変異を主たる原因とする左室肥大を呈する遺伝性心筋症です。しかし,わが国においては遺伝子検査は研究室レベルでしか行われないため,HCMの診断は,従来通り心肥大をきたす他の疾患を除外することにより行われます。

    高血圧や弁膜症などはもちろんのこと,Anderson-Fabry病などの先天性代謝異常,ミトコンドリア病,アミロイドーシスなどが鑑別として特に重要です。なぜなら,これらの疾患を治療することが可能になってきたからです(例:Anderson-Fabry病に対する酵素補充療法)。

    鑑別への足がかりとして,日常臨床では以下の4つが重要と考えます。
    ①既往歴/家族歴の聴取(HCMは常染色体優性遺伝,Anderson-Fabry病やDanon病はX連鎖性,ミトコンドリア病は母系遺伝)。

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