【質問者】
藤 重夫 国立がん研究センター中央病院 造血幹細胞移植科
MMは,一般的に進行が緩徐であるものの治癒が困難な疾患です。疫学的には60〜70歳代の発症が多く,がん情報サービスによれば65歳未満の罹患数は全罹患数の約21%,55歳未満の罹患数は約6%にすぎません。
(1)PI,IMiDsおよびHDM/ASCTによりMMの治療成績は飛躍的に向上
自家移植併用大量化学療法(high-dose melphalan and autologous stem cell transplantation:HDM/ASCT)は65歳未満の適格症例に対し奏効を高め,無増悪生存率を向上させることが示されています。また2006年にボルテゾミブが承認されたのを皮切りに,2017年3月の時点で2種類のプロテアソーム阻害薬(proteasome inhibitor:PI),3種類の免疫調節薬(immunomodulatory drugs:IMiDs)が投与可能となりました。これらのPI,IMiDs(いわゆる新規薬剤)およびHDM/ASCTにより,MMの治療成績は飛躍的に向上しています。
MMは多様性に富む疾患で,約20%の症例は平均生存期間が10年以上である一方で,平均生存期間が約2年のハイリスクの症例が約20%存在するとされています(残りの約60%の平均生存期間は約7年)1)。ハイリスク群に属する若年の症例(55〜60歳未満)は同種造血幹細胞移植の適応があると考えます。
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