(千葉県M)
進行した慢性腎臓病から末期腎不全に至るまでの患者に対して,透析療法や保存的治療も含めて,質の高い治療をどう選択し,提供していくかは,わが国のみならず世界各国の共通の課題です1)。フレイルな高齢末期腎不全患者が透析療法により得られる見込みのある利益と,治療により生じうる負担には表1のようなものがあります2)。
予後が非常に悪いと予想される患者の場合には,透析療法を行っても,延命,健康に関連したQOLや機能障害の改善につながらない可能性があります。日本透析医学会レジストリーを用いた検討では,透析療法開始時のADLが高度に障害された80歳以上の患者は,開始3カ月以内に36.5%が死亡していました3)。米国の平均年齢73歳の老人ホーム居住者では,透析療法開始自体がADL低下の危険因子であったと報告しています4)。
確立した予後の予測方法はありませんが,「この患者が1年以内に死亡したら驚きますか」という驚きについての質問方法は,臨床の場で早期の死亡を予測する際に使える簡単で有用な方法です5)。個別の患者にとって最適な治療選択の助けとなるガイドラインの作成が望まれますが,その根拠となるような研究が十分になされているとは言えません。わが国や海外での検討を参考に,患者にとってより適切な治療を選択する際に有用な情報を提供することが大切です。
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