OCT angiography(OCTA)は,網膜の同じ断面で連続撮影したBスキャン画像から動きのある部分(血流)を判別・層別解析し,血管像を再構築することで,眼底の循環動態を解析する画像処理技術である。さらに,縦分解能3μmの解像度により網膜血管網の三次元表示も可能であり,加齢黄斑変性でみられる脈絡膜新生血管の位置を特定することも可能となってきている。既報では2006年,Makitaらが,ヒトにおいて造影剤なしに網膜血管評価が可能であると最初に報告1)している。最近ではtypical AMD2),ポリープ状脈絡膜血管症3)4),網膜血管腫状増殖5),pachychoroidal neovasculopathy6)などの疾患に応用された報告もある。
OCTAの最大の利点は,造影剤を使用しないため非侵襲的かつ迅速に,網脈絡膜循環を検査できることである。一方で,FAIAでみられる漏出,貯留,組織染などの所見や造影早期,後期などの画像が得られないことは最大の欠点だが,蛍光漏出の影響を受けないことで血管組織の描出が可能である。今後OCTAでの所見の確立,読影が進めば迅速な診断や治療方針決定の一助になると考える。
【文献】
1) Makita S, et al:Opt Express. 2006;14(17):7821-40.
2) 森 隆三郎:眼科グラフィック. 2016;5(4):348-56.
3) Tomiyasu T, et al:Invest Ophthalmol Vis Sci. 2016;57(9):OCT324-30.
4) Srour M, et al:Br J Ophthalmol. 2016;100(11): 1489-93.
5) Amarakoon S, et al:Am J Ophthalmol. 2015; 160(5):1044-54. e1.
6) Dansingani KK, et al:Am J Ophthalmol. 2015; 160(6):1243-54. e2.
【解説】
東 惠子*1,井上達也*1,小畑 亮*2 *1東京大学眼科*2同講師