【質問者】
成田一衛 新潟大学医歯学総合研究科腎・膠原病内科学 教授
サルコペニアは,高齢者のふらつき,転倒・骨折,機能障害,要介護化,フレイルに密接に関連しています。
サルコペニアの定義は,①筋肉量の減少,②筋力の低下,③身体能力の低下のうち,①と②か③のどちらかがある状態です。
診断では,①の測定は面倒なので,まず②と③を測定します。②では握力を両手で各3回測り,最高値が男性26kg,女性18kg未満だと「筋力の低下」ありです。③では歩行速度が0.8m/秒以下で「身体能力の低下」ありです。目安は,青信号で横断歩道を渡り切れるかどうかです。②,③とも該当しなければサルコペニアではありません。②,③どちらか一方でも該当すると,サルコペニアが疑われ,確定診断のために①を測定します。dual energy x-ray absorption(DXA)を用いて測定する場合は,骨格筋指数(skeletal muscle mass index:SMI)が男性7.0kg/m2未満,女性5.4kg/m2未満,bioelectrical impedance analysis(BIA)を用いる場合は,男性7.0kg/m2未満,女性5.7kg/m2未満を「筋肉量の減少」ありとしてサルコペニアを診断します。
サルコペニアの身体能力を簡易に評価するためのテストとしてshort physical performance battery(SPPB)があります。バランステスト,歩行テスト,椅子からの立ち上がりテストの3項目で構成され,スコアは最大12点で,9点未満をカットオフ値としてサルコペニアを診断します。
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