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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療選択肢【H. pylori陽性例ではまず除菌療法を。陰性例,除菌無効例では,副腎皮質ステロイド(PSL)を投与】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.49

久冨木庸子 (宮崎大学内科学講座消化器血液学講師)

下田和哉 (宮崎大学内科学講座消化器血液学教授)

登録日: 2017-06-27

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特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)は,産生された自己抗体が血小板および巨核球と反応し,血小板減少症,出血傾向を示す自己免疫疾患である。「免疫性(immune)血小板減少性紫斑病」とも呼ばれる。

頭蓋出血,消化管出血などの緊急例ではガンマグロブリン大量療法が選択されるが,それ以外の例では,Helicobacter pylori(H. pylori)除菌療法奏効例の60~70%に血小板増加がみられるため,H. pylori陽性例ではまず除菌療法を行う。

陰性例,除菌無効例では,副腎皮質ステロイド(PSL)を投与する。50~70%の症例で血小板数は増加するが,多くはPSLの減量に伴って減少するため,PSL少量維持療法を必要とすることが多い1)。PSLが無効,維持量で血小板数3万/μL以上を保てない,もしくは不耐用の場合,第二選択は脾臓摘出術(脾摘)であるが,侵襲が大きく約30%に無効である。

トロンボポエチン受容体作動薬(ロミプロスチム,エルトロンボパグ)は約80%の例に,抗CD20抗体リツキシマブは約30%の例に血小板増加が期待でき2)3),ITPの治療選択肢が増えてきた。

【文献】

1) 藤村欣吾, 他:臨血. 2012;53(4):433-42.

2) Saleh MN, et al:Blood. 2013;121(3):537-45.

3) Miyakawa Y, et al:Int J Hematol. 2015;102(6): 654-61.

【解説】

久冨木庸子*1,下田和哉*2  *1宮崎大学内科学講座消化器血液学講師 *2同教授

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