漢方エキス製剤が市販されてからちょうど60年が経ち,還暦を迎える。その後,ご存知のように漢方エキス製剤は保険適用が認められるようになり,煎じ薬と比べて簡単に漢方治療ができる時代となって久しい。一方で,循環器疾患は漢方治療の適応から遠く,エビデンスの蓄積が少ない分野と言える。本特集は,漢方医学とともに循環器を専門とする先生方にご執筆を依頼した。漢方診療にも長年携わっているベテランの矢久保修嗣先生,若手のホープである高山 真先生,関係著書もあり地域医療でも活躍中の北村 順先生の3人である。先生方にはエビデンスの少ない中,苦労してお書き頂いた。これらの内容が明日からの診療に役立てば,編者並びに筆者のめざすところである。
1 高血圧における漢方治療のエビデンス
明治薬科大学伝統医療薬学コース 植松立弥
明治薬科大学臨床漢方研究室准教授 馬場正樹
明治薬科大学臨床漢方研究室教授 矢久保修嗣
2 低血圧症における漢方治療のエビデンス
東北大学病院総合地域医療教育支援部漢方内科准教授 高山 真
東北大学病院総合地域医療教育支援部漢方内科/東北大学大学院医学系研究科漢方・統合医療学寄附講座 菊地章子
3 循環器診療で知っておくべき“漢方薬の副作用”
神戸海星病院内科部長/島根大学医学部臨床教授 北村 順