日本医師会の釜萢敏常任理事は、9月27日に開かれた会見で、流行性耳下腺炎(ムンプス)ワクチンについて、「定期接種化に向けてはより安全なワクチンの開発が求められる」との見解を示した。
発言は、日本耳鼻咽喉科学会がこのほど公表した調査結果を受けたもの。調査結果によると、2015~16年に発生したムンプスの流行で、少なくとも336人がムンプス難聴と診断され、そのうち約8割で、高度以上の難聴が後遺症として残っているという。
釜萢氏は、ムンプスワクチンは任意接種だが、市町村によっては一部公費負担で、接種が受けやすい体制になっているとして、「ワクチン接種を積極的に検討する保護者には情報を伝える必要がある」と指摘。一方で定期接種化については、ワクチン接種の副反応としての無菌性髄膜炎の発症頻度が千数百人に1人という報告もあることから、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会で、「より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提」とされていることを紹介した。
釜萢氏は、後遺症が残る難聴の発生は少なくないことや、副反応としての無菌性髄膜炎は治癒することなどから、「接種しようと思う人が増えてほしい」と話した。