乳幼児の喘鳴における原因疾患は多岐に及ぶため,薬剤の効果による鑑別を行うにあたっても,上・下気道疾患の別や急性,慢性・反復性の別を確認しておく必要がある
ウイルス性クループでは,アドレナリン吸入で著効を認める。アナフィラキシーではアドレナリン筋注を行うが,喘鳴にはβ2刺激薬の吸入が有効である
喘息であればβ2刺激薬吸入により喘鳴,呼吸困難の改善がみられるため,胸部聴診での喘鳴の変化やSpO2で確認する。ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイド薬による長期管理により喘鳴の反復が激減することも鑑別に役立つ
上・下気道の形態異常に関連する先天性喘鳴は,本来,薬物療法に抵抗性である
細気管支炎に対する有効な薬物療法について議論されているが,明確な効果が期待できる治療法はいまだ確定されていない
乳幼児では上・下気道ともに内径が狭く,さらに免疫能の未熟性から感染症に罹患しやすいため,結果として喘鳴を呈しやすいと考えられている。このため原因疾患は多岐に及び,通常の肺機能検査が困難な乳幼児では診断に苦慮することも少なくない。
喘鳴は気道の狭窄に伴って発生する連続性の異常呼吸音と考えられている。喘鳴は大きく吸気性喘鳴と呼気性喘鳴にわけられるが,吸気性喘鳴は主に上気道の閉塞により,呼気性喘鳴は主に下気道の狭窄により出現することが知られている。しかしながら,臨床上,乳幼児の喘鳴の情報は母親に依存しており,母親にはこれらの分類は困難であることをまず理解しなくてはならない。
このような広い意味からも,喘鳴性疾患は多様である。原因となる疾患により治療が異なるのは当然であるが,本稿では主に治療の側面からの考察を述べる。何より,診断にあたっては,上・下気道疾患の別のほか,急性,慢性・反復性の別を考慮しておく必要がある(図1)1)2)。
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