40歳以上の日本人の尿失禁保有率は,男性18%に対し女性は44%と倍以上で,骨盤底の脆弱化に伴う腹圧性尿失禁の増加が背景にある。薬物療法では,過活動膀胱(切迫性尿失禁)の抗コリン薬の種類が増え,β3アドレナリン受容体作動薬が使われている。生活指導,骨盤底筋訓練などの行動療法は治療のベースとして重要である。腹圧性尿失禁,骨盤臓器脱ではメッシュを使用する低侵襲手術が選択肢に入った。今後,さらなる高齢女性のQOL向上のため,医療連携を進めていきたい。
1 高齢女性の過活動膀胱と腹圧性尿失禁─薬物療法の広がり
北アルプス医療センターあづみ病院統括院長 西澤 理
北アルプス医療センターあづみ病院泌尿器科部長 平林直樹
2 高齢女性の尿失禁─ベースとなる行動療法とケア
獨協医科大学排泄機能センター長/泌尿器科教授 山西友典
獨協医科大学排泄機能センター/泌尿器科 加賀勘家
3 高齢女性の腹圧性尿失禁・骨盤臓器脱─紹介のタイミングと手術療法の動向
名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科部長 加藤久美子
名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科副部長 鈴木省治