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機能性下垂体腺腫の術後外来観察法【腫瘍の種類・摘出度・悪性度により対応方法は異なる】

No.4879 (2017年10月28日発行) P.56

堀口健太郎 (千葉大学医学部附属病院脳神経外科)

天野耕作 (東京女子医科大学脳神経外科講師)

登録日: 2017-10-29

最終更新日: 2021-01-07

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  • 機能性下垂体腺腫〔成長ホルモン(growth hormone:GH),副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH),甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)産生〕の外科治療後,どの程度,脳神経外科が外来で観察する必要があるのでしょうか。その期間および外来観察の間隔について,東京女子医科大学・天野耕作先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    堀口健太郎 千葉大学医学部附属病院脳神経外科



    【回答】

    筆者が下垂体専門外来を始めてから10年以上が経過し,外来で経過観察を行っている術後患者(術患)は1000名を超えました。増え続ける術患に対して,限られた外来時間の中で外来診察の必要十分条件を満たしながら適正な頻度で経過観察を行うためには,効率よく対応する必要があります。当然,外来経過観察の仕方は腫瘍の種類によって異なり,また腫瘍の摘出度,病理診断の結果(悪性度),内分泌内科医との連携度によっても対応方法は異なります。

    下垂体腫瘍の術患を外来経過観察する上で筆者が心掛けているのは,①残存腫瘍,再発腫瘍を見逃さないこと,②再発した場合,適切な時期に適切な治療介入を行うこと,③合併症を見逃さないこと,④drop outすることなく,いつまでも外来に来続けてもらうこと,の4つです。これらの留意点に基づいた機能性下垂体腺腫に対する筆者なりの術後外来観察法を概説します。

    (1)完全摘出例

    完全摘出か否かの判定は,内分泌内科医による第三者評価にゆだねますが,術後3~4カ月で行うMRI(Gd.)が残存腫瘍の有無・程度を画像上評価する上で重要です。この時点で内分泌学的にも画像上も全摘出が確認できた場合,次回外来MRI(Gd.)は術後1年で行います。そこでも残存腫瘍がないことを確認できた場合は,さらに1年後にMRIを行い,以降は1年ごとにホルモン採血を行って,ホルモン基礎値の上昇を認めればMRIを施行します。

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