(岩手県 H)
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CK D)は進行すると種々の尿毒症物質が体内に増加・蓄積することにより,腎障害が進行するほか,心血管病など種々のCKD関連疾患に影響することが基礎研究で明らかにされ,臨床的にも示唆されています。そのため透析療法導入前の保存期CKDにおいても尿毒症物質を除去することが重要であると考えます。
球形吸着炭であるクレメジンⓇは,腸内で産生される尿毒症物質の前駆体を吸着し排泄することで体内での尿毒症物質の産生を減少させます。たとえば食事由来のトリプトファンが腸内細菌によりインドールとなり,吸収されたのち肝臓で硫酸抱合されインドキシル硫酸となりますが,クレメジンⓇは,腸内でインドールを吸着することで体内のインドキシル硫酸を減少させます。その結果,基礎研究では,腎機能の保持,動脈硬化の進展抑制,酸化ストレス減少などの効果が報告されています。
国内外のクレメジンⓇを用いた臨床試験において,CKDの進行について一次エンドポイントとしての有意な効果を示せていませんが,サブ解析ではその効果が明らかとなっています。たとえば世界的規模で行われたEvaluating Prevention of Progression in CKD(EPPIC)研究での,血清クレアチニン値2.0~5.0mg/dLのCKD患者を対象としたクレメジンⓇ 9g/日のプラセボ対照二重盲検比較試験においては,透析導入,腎移植施行,血清クレアチニン値の倍化といった複合エンドポイントでは有意な効果を認めませんでしたが1),軽症のCKD患者も対象としていたことと,服薬のコンプライアンスが悪かったことが問題点として挙げられました。
実際に,同研究の患者群のうち服薬コンプライアンスが67%以上の症例を抽出して解析すると,26%のリスク回避が証明されました2)。
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