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「オーラルフレイル」の概念と日常診療での評価法や対処法【フレイルの前段階。高齢者口腔診査法で評価し口腔機能向上プログラムメニューで対処】

No.4882 (2017年11月18日発行) P.59

佐竹昭介 (国立長寿医療研究センター高齢者総合診療科医長)

飯島勝矢 (東京大学高齢社会総合研究機構教授)

登録日: 2017-11-18

最終更新日: 2017-11-14

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  • 加齢に伴う心身の機能低下のため,自立機能に陰りがある高齢者を「フレイル」と称するようになりました。フレイルから要介護状態への移行を遅らせることが重要ですが,最近は,口腔機能低下がフレイル状態の初期段階と位置づけられ,「オーラルフレイル」と呼ばれています。「オーラルフレイル」の概念と,日常診療での評価法や対処法について,東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢先生にご教示願います。

    【質問者】

    佐竹昭介 国立長寿医療研究センター高齢者総合診療科 医長


    【回答】

    「オーラルフレイル」(oral frailty)とは,高齢になって口腔の筋肉や活力が衰え,歯・口の様々な機能が虚弱になることであり,「oral」(口腔の),「frail」(弱い)という語で表現しています。加齢や歯周病等により歯が抜けるという兆候が基盤にあるとはいえ,それ以外にも,この「オーラルフレイル」は,口腔機能の軽微な衰え(たとえば,滑舌の低下,食べこぼしが増えてくる,物がうまく呑み込めずむせが増える,噛めない食品が増えるなど)を意味しています。そのような早期の口腔機能低下の兆候を見逃した場合,さらなる顕著な口腔機能低下(たとえば,咬合力の低下や舌運動の低下など)に移り,ひいては全身的な機能低下(筋肉減弱の意味であるサルコペニアや低栄養など)へと進みます。

    筆者らは,これらを「フレイル(虚弱)」の前段階であるプレフレイルとして「オーラルフレイル」と名付けました。「オーラルフレイル」へのより早期からの対策は,全身的なフレイルの予防につながります。また,この概念の普及により,国民の口腔に対する健康リテラシーが向上することを目的として提唱されました。

    「オーラルフレイル」のスクリーニング法は,現時点では概念が確定していないため,その明確なスクリーニングの方法やアルゴリズムは確立されていませんが,提案されているものとして,以下のようなものが挙げられます。

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