本年の米国糖尿病学会で報告されたCANVASプログラムの追加解析が、13日、Late Breakingセッションで報告された。試験開始時に心血管系(CV)疾患既往を持たない1次予防例(3486例)と、既往のある2次予防例(6656例)の間で、SGLT2阻害薬によるCVイベント抑制作用には有意差はなかった。ただし1次予防群では、SGLT2阻害薬によるCVイベント抑制は有意とはならなかった。Kenneth W. Mahaffey氏(スタンフォード大学、米国)が報告した。
本サイト既報の通り[https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=7249&preview=1]、CANVASプログラムは、2つのランダム化試験 、“CANVAS”と“CANVAS-R”を併合した解析である。2型糖尿病例に対するSGLT2阻害薬追加により、CVイベント(心血管系死亡・心筋梗塞・脳卒中:1次評価項目)は、プラセボ群に比べ有意に減少していた(HR:0.86、95%CI:0.75-0.97)。
今回は、試験開始時のCV既往の有無で1次予防群と2次予防群に分け、SGLT2阻害薬の有用性を検討した。
その結果、1次評価項目抑制作用に関し、1次予防(HR:0.98、95%CI:0.74-1.30)、2次予防(HR:0.82、95%CI:0.72-0.95)群間に異質性は認められなかった(P=0.18)。同様に、SGLT2阻害薬による下肢切断リスクの増加にも、1次、2次予防群間で有意な異質性は認められなかった(P=0.63)。
そこで「CVイベント」と「下肢切断」を併合した発生数を5年間で比較すると、2次予防例では、SGLT2阻害薬群でプラセボ群に比べ15例の低値となるが、1次予防例では逆に、SGLT2阻害薬群で7例多くなっていた(検定なし)。