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クラミドフィラ肺炎は市中肺炎としてどの程度の頻度なのか?【近年のDNA診断法では0.8~5.0%程度と報告されているが,上気道に常在する菌であるため評価が難しい】

No.4883 (2017年11月25日発行) P.54

藤田次郎 (琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座(第一内科)教授/ 琉球大学医学部附属病院長)

迎 寛 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座呼吸器内科学分野(第二内科)教授)

登録日: 2017-11-22

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  • 長年,呼吸器内科を専門としていますが,これぞクラミドフィラ肺炎という症例をあまり経験していません。最近,multiplex PCRを活用した遺伝子診断を導入したものの,クラミドフィラ肺炎はあまり見つかりません。ただし,市中肺炎の疫学調査の結果では,クラミドフィラ肺炎が上位に位置しています。このようなギャップをどう考えればよいでしょうか。
    長崎大学・迎 寛先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    藤田次郎 琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座(第一内科)教授/ 琉球大学医学部附属病院長


    【回答】

    クラミドフィラ肺炎の診断にはmicro-immunofluorescence(MIF)法がゴールドスタンダードであることが知られていますが,施行可能な施設は限られていることから,肺炎クラミドフィラの検出頻度の差については,診断方法の差が大きいと考えています。

    わが国においては,enzyme-linked immuno sorbent assay(ELISA)法による評価法が汎用されており,血清学的な診断に基づいたクラミドフィラ肺炎の過去の報告では,肺炎クラミドフィラは市中肺炎の主要な菌種であるとされてきました。

    しかし,近年のより特異的な診断法であるDNA診断法(PCR法)などを用いた報告においては,わが国のクラミドフィラ肺炎の頻度は0.8~5.0%程度と報告されており,過去の報告よりもかなり低い数値です。これらの検出頻度についても本当に正しいかどうかは非常に悩ましい問題です。すなわち,肺炎クラミドフィラは上気道に常在しているため,上気道を経由して得られた検体による検討においては,真のクラミドフィラ肺炎の評価ができないのではないかと考えています。

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