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動脈硬化性疾患のL/H比に基づく治療は可能か?【LDL-C管理目標値の遵守とL/H比の指標を併せることで,さらなる発症リスク軽減の可能性】

No.4883 (2017年11月25日発行) P.58

桝田 出 (武田病院健診センター所長)

岩崎 新 (浅本内科医院副院長)

登録日: 2017-11-23

最終更新日: 2017-11-20

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  • 脂質異常症の治療において日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版」を参考に治療を行っています。
    同ガイドラインでは絶対値での目標値が提示されていますが,現時点で(根拠が明示された)L/H比〔LDLコレステロール(LDL-C)/HDLコレステロール(HDL-C)比〕を考慮した,もしくはL/H比に基づく治療方針があればご教示下さい。

    (神奈川県 O)


    【回答】

    動脈硬化性疾患の発症予防や治療において,LDL-Cは“the lower, the better”の概念が確立しています。一方,高LDL-C血症とは脂質代謝異常の発症機序が異なるメタボリックシンドロームでは,低HDL-Cと高中性脂肪血症が診断基準に挙げられています。このことから,動脈硬化性疾患のリスクを表す指標として,LDL-CやHDL-Cを単独で管理するよりも両者を併せて評価するL/H比が注目されています。

    米国のFramingham Studyでは,脂質プロファイルの中でLDL-CやHDL-C単独よりL/H比のほうが心血管イベントとの相関関係が良好であることが示されています1)。わが国の冠動脈疾患患者と一般住民健診患者とのケースコントロール研究では,L/H比が2を超えると冠動脈疾患発症が増加しています2)

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