厚生労働省は11月28日、添付文書改訂指示を発出した。
ガドリニウム(Gd)造影剤(ガドキセト酸ナトリウム、ガドテリドール、ガドテル酸メグルミン、ガドブトロール、ガドジアミド水和物、ガドペンテト酸メグルミン)はMRIにおける水素原子核のT1(縦緩和時間)とT2(横緩和時間)を短縮させるキレート化合物。国内で6製剤が販売されている。
2014年以降、造影MRI検査を複数回行った患者の一部において、Gd造影剤の最終投与後も長期にわたり脳組織にGdが残存していると複数報告されており、米国食品医薬品庁は今年9月、添付文書上にて警告を追記することが必要であると判断。欧州医薬品庁は今年7月、予防的措置として一部を一時販売停止にすべきと勧告した。
こうした状況を踏まえ医薬品医療機器総合機構は、文献情報と症例報告を調査。その結果、Gd造影剤の投与によりGdが脳組織に残存することを確認する一方、臨床症状については、脳組織中のGd残存との因果関係が明らかなものは認められず、臨床上のリスクは特定されなかった。しかし、Gdが脳組織に長期間残存することで神経障害などの副作用が遅発的に発現する可能性があることから、脳組織中のGd残存に伴う潜在的リスクを最小化する観点から、全てのGd造影剤の添付文書を改訂し、リスクに応じた注意喚起を行うことが適切と判断した。