(神奈川県 I)
今回のご質問については,昨今,社会的な関心が高まっている高齢者医療に引き寄せ,80歳以上の高齢者に限定してお答えします。
人口動態調査では,死亡場所を6つに整理しています。すなわち「病院」「診療所」「介護老人保健施設」「助産所」「老人ホーム」そして「自宅」です。「老人ホーム」には養護老人ホーム,軽費老人ホーム,特別養護老人ホームおよび有料老人ホームが含まれます。また「自宅」には,自分の家のほかに,グループホームやサービス付き高齢者向け住宅が含まれています。
(1)2001年以降の「病院」と「自宅」での死亡者数の動向
ここでは80歳以上の高齢者について,「病院」と「自宅」の死亡者数に着目して動向を見てみましょう。「病院」での死亡者の割合は,2001~15年の間は72.8~78.5%と高い水準で推移し,またその数は高齢者人口の増加に伴って,01年の32万3000人から15年の57万6000人へと1.78倍に増加しています(図1)。つまり,看取りの場の中心は「病院」だと言えます。
一方,「自宅」での死亡者は,01年の6万7000人から15年の8万4000人と1.25倍の増加にとどまり,その割合は,小幅ながら01年の15.6%から減少の一途をたどり,15年には10.6%までに低下しています。つまり80歳以上の死亡者のうち,グループホームやサービス付き高齢者向け住宅を含めた「自宅」で死亡したのは,10人に1人というのが現状です。
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