今後,高齢者人口の増加に伴い慢性腎臓病(CKD)患者数の増加が予想される。CKDは透析導入の原因となる以外に心血管障害の発症危険因子でもあり,日常診療においてもCKDの存在を意識し,年に1回程度の血清クレアチニン・一般検尿の実施が勧められている。高齢者CKDに関するエビデンスは少なく,今後の臨床的治験の集積が待たれている。
本特集ではまずCKDに留意した診療の重要性について述べ,続いてCKD進行と関連の深い生活習慣,栄養障害,運動機能,そして腎機能のモニタリング,腎機能代替療法(RTT)への移行のタイミングについて概説をまとめた。日常診療の一助となれば幸いである。
1 高齢者CKD対策の重要性
豊見城中央病院臨床研究支援センター長 井関邦敏
2 高齢者のCKD進行阻止対策─protein energy wasting対策
東京共済病院腎臓内科部長 神田英一郎
3 腎機能のモニタリング,腎機能代替療法導入のタイミング
東京大学保健・健康推進本部 碓井知子