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悪性神経膠腫治療薬ベバシズマブの投与法,機能予後,生命予後【再発時に投与。機能予後は良好。生存期間中央値24.6カ月と生命予後も良好】

No.4895 (2018年02月17日発行) P.53

大石 誠 (新潟大学脳研究所脳神経外科学分野准教授)

齋藤竜太 (東北大学脳神経外科院内講師)

登録日: 2018-02-18

最終更新日: 2021-01-07

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  • 悪性神経膠腫治療薬としてベバシズマブ(アバスチン®)が導入されてある程度の期間が経過しましたが,投与を開始すべきタイミング,機能予後や生命予後,高齢者での投与法などに関して感じたり工夫されたりしている点について,東北大学・齋藤竜太先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    大石 誠 新潟大学脳研究所脳神経外科学分野准教授


    【回答】

    アバスチン®が2013年6月に厚生労働省から「悪性神経膠腫」に対する効能・効果,用法・用量追加の製造販売承認を取得してから4年が過ぎました。当科でも投与した症例は100例を超えました。本稿では筆者らが考える①投与開始のタイミング,②機能予後への貢献,③生命予後への貢献,④高齢者への投与における注意点に関して説明します。

    (1)投与開始のタイミング

    アバスチン®の投与は,基本的には「再発時に」というのが筆者らの考えです。わが国において,アバスチン®は世界に先駆けて初発悪性神経膠腫にも承認されました。しかし,欧米で実施された大規模臨床研究(AVAglio,RTOG0825)では,その全生存期間延長効果は否定されました。また,初発時から使用を継続した際にはMRIでの造影増強効果が減弱することにより再発の判定が困難になり,再発治療の機会を失う可能性も考えられます。当科でも,再発に対して再摘出術を施行後に長期生存が得られている症例もあり,これらの症例ではマイナスに働く可能性があります。また,初回治療後に神経症状がない元気な症例においては,「2週ごと」もしくは「3週ごと」というアバスチン®の投与間隔に応じた来院は,生活の質を落とすとも考えられます。ただ,初回治療で腫瘍摘出が不可能な場合など,症状緩和が得られることも事実です。摘出不能例において,アバスチン®を使用できなかった時代には考えられなかったような長期生存例も経験しています。

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