【質問者】
佐田憲映 岡山大学リウマチ膠原病内科准教授
強皮症に合併した間質性肺炎に対する治療としてエビデンスが報告されている治療薬はCPAとミコフェノール酸モフェチル(MMF)です。
CPAには無作為化比較試験(RCT)が2つあり,それぞれCPA 1~2mg/kg/日を1年間経口投与する治療法と,低用量ステロイド+CPA 600mg/m2の点滴静注(IVCY)(4週間ごとに6回)を行い,その後,アザチオプリン(AZA)2.5mg/kg/日を経口投与する治療法で,治療開始1年後に評価が行われています。
前者では有意に%努力性肺活量(FVC)の低下を抑制し,49.3%で改善を示しています(プラセボ群では26.4%)。同時に呼吸困難感とQOLの改善も報告されています。後者のRCTは,やや軽症例に対して行われ有意差はないものの%FVCの改善傾向が認められています。有害事象は,CPA群で血球減少(経口)や嘔気(点滴)が多いものの,いずれの試験でも重篤な有害事象に有意差は認められていません。
一方で,経口CPAによる試験では1年間の治療終了後も%FVCがさらに改善していく傾向を認めるものの,その1年後(治療開始から2年後)の評価ではプラセボ群のレベルまで再悪化を認めています。CPAは,発癌性,免疫抑制,卵巣機能障害等の有害事象の観点から長期投与が難しい薬剤であり,初期の有効性をいかに維持していくかが今後の課題と言えます。
残り703文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する