新規尿酸低下薬であるフェブキソスタットは第3相試験で、古典的低下薬であるアロプリノールに比べ、心血管系(CV)イベントの多い傾向が観察されていた。そのため米国FDAは、同薬のCV安全性を確認する大規模ランダム試験を要求した。それに応えて行われたのが、本学会で報告されたCARES試験である。フェブキソスタットによる脳心血管イベント増加は認めぬも、CV死亡と総死亡のリスクは有意に増加していた。コネチカット大学のWilliam B. White氏が報告した。
本試験の対象は、脳・心・脚の血管疾患、または血管症既発糖尿病を合併する、痛風患者6190例である。平均年齢は約65歳で、すでに尿酸低下薬を服用していたのは62%だった(うち91%はアロプリノール)。これら6190例はフェブキソスタット群とアロプリノール群に無作為化され、二重盲検法で追跡された。フェブキソスタットは40mg/日、アロプリノールは腎機能に応じて200mg/日、あるいは300mg/日で開始し、試験開始2週間後に尿酸値が「6.0mg未満」に達していなければ、両剤とも増量した。
その結果、平均2.5年間以上の追跡期間中、1次評価項目である「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中・緊急冠血行再建術施行」の発生率はフェブキソスタット群で10.8%となり、アロプリノール群(10.4%)に非劣性であることが証明された。なお、尿酸値「<6mg/dL」、「<5mg/dL」達成率はフェブキソスタット群のほうが高かった。
その一方、2次評価項目である「CV死亡」のリスクは、フェブキソスタット群で有意な増加が認められた(HR:1.34、95%CI:1.03−1.73)。中でも心臓突然死の増加が目を引いた(2.7% vs. 1.8%)。しかし血中カリウムを含む電解質に、両群間で有意差はなかったという。本試験は脱落率が高かったため(57%、群間に有意差なし)、試験薬を服薬中、ないし服薬中止後30日以内のCV死亡でも比較を行った。しかし、やはりフェブキソスタット群でリスクの有意増加が認められた(HR:1.49、95%CI:1.01-2.22)。
さらに「総死亡」のリスクも、フェブキソスタット群で有意に増加していた(HR:1.22、95%CI:1.01−1.47)。死亡リスク増加の原因については、現在、解析中だという。
本試験は武田グローバル研究開発センター株式会社からの資金提供を受けた。また発表と同時(現地時間12日)に、NEJM誌に掲載された。