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(2)新しく登場した画像診断モダリティ─①乳房用超音波画像診断装置(ABUS)

No.4901 (2018年03月31日発行) P.26

吉田美和 (昭和大学江東豊洲病院乳腺外科講師)

榎戸克年 (昭和大学藤が丘病院乳腺外科講師)

西山寿子 (大手町さくらクリニックin豊洲院長)

登録日: 2018-03-30

最終更新日: 2018-03-28

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自動乳房超音波画像診断装置(Automated Breast Ultrasound System:ABUS)は,乳房のフルボリュームスキャンにより検者の技量に左右されることなく,再現性・客観性の高い超音波画像診断を可能にする

横断面に冠状断面を併用した読影方法は,効率的かつ乳腺病変の局在診断に非常に有用である

1. 乳房用超音波画像診断装置(ABUS)について

わが国で実施された「超音波検査による乳がん検診の有効性を検証する比較試験(J-START)」1)において,40歳代のマンモグラフィ検診に乳房超音波検査を加えることにより,感度および癌発見率が上昇することが示された。死亡率減少効果についてはまだ結論が出ていないものの,高濃度乳房に対する検診方法として超音波併用検診が期待されている。しかし,超音波検査は検者の技量や装置の性能により診断の質にばらつきが生じやすく,超音波併用検診の導入に向けては,診断技術の高い検査技師や医師の育成,超音波装置の整備,精度管理などの課題も多い。

近年,自動で乳房のフルボリュームスキャンが可能な乳房用超音波画像診断装置(Automated Breast Ultrasound System:ABUS)が開発され,その導入によって検者の技量に左右されることのない検査精度の標準化および検査時間の均一化,さらには再現性・客観性の高い検査の実現が期待されている。

代表的なABUSには,GEヘルスケア社よりAutomated Breast Ultrasound System(InveniaTM ABUS)(図1),シーメンスヘルスケア社よりAutomated Breast Volume Scanner(ACUSON S2000 ABVS)として販売されているものがある。InveniaTM ABUSは,当初,U-Systems社よりSomo-Vとして開発され,2012年に「高濃度乳房に対する検診を目的としたマンモグラフィに併用する乳房用超音波画像診断装置」として米国食品医薬品局(food and drug administration:FDA)の認可を取得している。

    

いずれの装置も乳房全体をカバーするプローブでスキャンを実施する。通常,1乳房につき中央部・外側・内側の3スキャンで全乳房の3Dボリューム画像を取得する。両側乳房のフルボリュームスキャンに要する時間はおよそ10~15分である。

3Dボリューム画像を取得後,専用のワークステーションに画像を転送して,読影を実施する。読影ビューア(図2)では,従来の超音波検査の横断面〔transverse plane(T-plane)〕に加えて,乳房の矢状断面〔sagittal plane(S-plane)〕,冠状断面〔coronal plane(C-plane)〕での表示が可能である。実際の読影では,C-planeとT-planeを表示し,C-plane→T-planeの順に観察を行う方法が,効率よく見落としも少ない。特にC-planeでは,スピキュラや構築の乱れなどの所見をT-planeよりも明瞭に描出することが可能である。

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