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(3)熱性けいれん,有熱時発作の初期対応 [特集:熱性けいれんの診療の現在]

No.4813 (2016年07月23日発行) P.35

夏目淳 (名古屋大学大学院医学系研究科障害児(者)医療学寄附講座教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-23

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  • 熱性けいれんを起こした多くの小児では,薬剤投与や検査を必要としない

    5分以上発作が続く場合には,ジアゼパムやミダゾラムの静注を考慮する

    てんかん重積状態に対するミダゾラム非静注薬の早期承認が必要である

    有熱時発作を起こした小児における髄液検査は,意識障害の遷延,髄膜刺激症状,神経症状がみられる場合に考慮する

    熱性けいれんを起こして来院した小児に,外来でジアゼパム坐剤を予防的に投与することは1日以内の発作の再発予防に効果があるが,ルーチンに使用する必要はない

    1. けいれん発作に対する救急処置

    熱性けいれんを含めた多くのけいれん発作は,5〜10分以内で自然におさまるため緊急の薬物治療を必要としない。気道確保,バイタルサインの確認,酸素投与や口腔内吸引の準備を行いながら経過をみる。
    けいれん発作が5分以上続いている場合には,抗けいれん薬の投与を検討するべきである。『熱性けいれん診療ガイドライン2015』(以下,2015年ガイドライン)1)では,けいれん発作が5分以上持続している場合はジアゼパムまたはミダゾラムの静注を行うか,静注が可能な施設に搬送することを推奨している。薬剤の静注に際しては呼吸抑制などの副作用に注意する。
    てんかん重積状態に対する抗けいれん薬の投与で問題になるのは,静脈ラインの確保である。けいれん発作が持続している小児で静脈ラインを確保するのは困難な場合があり,静脈以外の経路からの薬物投与が検討される。残念ながら日本においてはミダゾラムの鼻腔・口腔投与薬,ジアゼパムの注腸用液薬は市販されておらず,ミダゾラムの筋注も麻酔前投薬としての承認のみである。海外におけるランダム化比較試験では,ミダゾラム非静脈投与とジアゼパム静注では同等の効果があり,ジアゼパム静注における静脈ライン確保の時間も含めれば,ミダゾラム非静脈投与のほうが発作停止までの時間が短かったとの報告がある2)3)
    ミダゾラムの鼻腔・口腔投与・筋注,ジアゼパムの注腸は静脈ラインが確保できていない小児における発作の治療として有効と考えられる。ただし,日本でてんかん重積状態への適応が承認されたミダゾラム静注薬は,10mg/10mLと稀釈倍率が高く投与総量が多くなるため,鼻腔・口腔投与がしにくい可能性がある。日本においてもてんかん重積状態に対するミダゾラム非静注投与薬の承認が必要である。

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