日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH)2019作成委員会の梅村敏委員長は4月27日、同学会のプレスセミナーで講演し、米国の新ガイドラインやJSH2019の方向性について説明した。
米国では、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)を中心に11の学術団体が連盟で昨年11月にACC/AHA高血圧ガイドライン2017を公表。高血圧の基準値を25年ぶりに変更し、従来の140/90mmHgから、130/80mmHgに引下げた。
講演で梅村氏は、引下げの理論的根拠は、観察研究、生活習慣修正のRCT、降圧薬治療のRCTであり、特に観察研究のエビデンスが集積したことが重視されたことを紹介。その上で基準値の引下げは「心血管疾患の予防のために、早い段階から生活習慣に注意してもらう発想がベースにある」と説明した。
JSH2019における高血圧の基準値については現在検討中としながらも、仮に、米国と同様に従来の140/90mmHgから、130/80mmHgに引き下げた場合、高血圧患者は4274万人から6309万人に増加するとの推計を紹介。その上で、「(基準値を引下げて心血管疾患の)予防に注意してもらう発想もあると思うが、今までの定義を維持する方向も考えている。ただ、6月に欧州も新ガイドラインを発表する予定で、ここでも引き下げられた場合、日本だけ孤立する必要もないかもしれない」と述べた。JSH2019は今秋にも改訂案が公表される予定。