高齢誤嚥性肺炎は,サルコペニア,サルコペニアによる嚥下障害によって生じる「サルコペニア肺炎」とも呼ぶべき病態である
誤嚥性肺炎の重症度評価尺度としてはA-DROPやI-ROADが使用されている
誤嚥性肺炎の危険因子としては嚥下機能低下,認知機能低下,気道クリアランス障害,呼吸機能障害,低栄養,サルコペニア,ADL低下等が挙げられる
近年,人口の高齢化に伴い肺炎による死亡者数が増加し続けている。わが国における肺炎死亡者の多くは65歳以上の高齢者であり,2011年には脳血管疾患を上回り,肺炎は日本人の死因の第3位となった。高齢肺炎のほとんどは加齢に伴う嚥下機能低下(presbyphagia:老嚥)を背景とした誤嚥性肺炎であると考えられる。老嚥を有する高齢者は加齢,身体機能低下に伴う身体活動低下,嚥下機能低下に伴う栄養摂取量低下の結果,全身や嚥下関連筋群のサルコペニアが進行し,サルコペニアによる嚥下障害へと移行しうる。高齢誤嚥性肺炎はサルコペニア,サルコペニアによる嚥下障害の進行によって生じる「サルコペニア肺炎」とも呼ぶべき病態である。
本稿では,誤嚥性肺炎の現状,症状,危険因子などについて概説する。