(長崎県 N)
ブルガダ型心電図は,type 1~3に分類されます1)(図1)。自然発生型および薬物誘発性type 1心電図(上位肋間での心電図を含む)のみが治療の適応となる可能性がありますが,健診でみつかるブルガダ型心電図のほとんどはtype 2またはtype 3です。
健常者では,上位肋間での心電図でもブルガダ型心電図を認めることはなく,ブルガダ型心電図の判定・診断とその意義は通常肋間と上位肋間で同様です。ブルガダ型心電図を認める頻度は通常肋間よりも上位肋間で高率であり2),上位肋間のみで診断可能な症例も存在します(図2)。したがって,ブルガダ型心電図の診断においては,通常肋間だけでなく,上位肋間での右側胸部誘導(V1,V2誘導)を記録することが重要です。
12誘導心電図で自然発生型type 1心電図を呈していない症例では,自然発生型あるいは薬物誘発性type 1心電図を呈するかどうかを精査する必要があります。ブルガダ型心電図は心電図の形態が日内変動,日差変動を呈することが明らかになっていますので,上位肋間のV1,V2誘導を含め,複数回12誘導心電図やHolter心電図を施行し,自然発生型type 1心電図の有無の精査を行うことが必要です。自然発生型type 1心電図を認めない症例では,入院の上ピルジカイニド負荷試験を行い,薬物誘発性type 1心電図の有無を精査します。
自然発生型および薬物誘発性type 1心電図を認めない症例は,非ブルガダ症候群と考え対応することになります。
【文献】
1) Wilde AA, et al:Circulation. 2002;106(19): 2514-9.
2) Shimeno K, et al:J Cardiovasc Electrophysiol. 2009;20(9):1026-31.
【回答者】
髙木雅彦 関西医科大学総合医療センター 不整脈治療センター教授