“Listen to your patient, he is telling you the diagnosis”
これは、William Osler先生の言葉です。傾聴は診察の基本であり、診断への近道です。しかし、多忙を極める外来診療においては、じっくりと患者の話を聴く余裕がなく、すぐに検査をオーダーしてしまうこともあるでしょう。一度に多くの情報が得られるという利点もあるため、検査に頼り過ぎてしまうことがあるかもしれません。
しかし、安易な検査は患者の不利益に繋がる恐れがあります。次の例を紹介します。血液検査で白血球数が増加しており、感染症が疑われましたが、感染源が不明でした。診断のために、血液培養、尿培養、痰培養検査を実施し、さらには造影CTまで撮影しました。検査施行後に、患者の話を良く聴いたところ、ステロイド内服中であることが判明しました。穿刺や被曝など患者の負担を考えると言葉が出ません。
検査は詳細な問診や丁寧な身体診察と組み合わせることで最大の効果を発揮します。本WEBコンテンツは症例を通じて各種検査について学習する形式になっています。実際に目の前で患者さんを診察しているつもりになり、主訴、問診事項、身体所見にも注目しながら検査の意義や特徴を学んでいただけたら幸いです。
2019年4月1日
順天堂大学 革新的医療技術開発研究センター/臨床研究・治験センター/循環器内科准教授
西﨑 祐史