編者: | 齋田良知(順天堂大学医学部整形外科・スポーツ診療科/いわきFCクリニック) |
---|---|
判型: | A5判 |
頁数: | 296頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2021年12月30日 |
ISBN: | 978-4-7849-6326-3 |
版数: | 1 |
付録: | - |
◆スポーツ現場でよく遭遇する外傷・障害の対応法を、若手ドクターとコンサルト医の掛け合いでわかりやすく解説。まるで自分もその現場にいるような感覚で若手ドクターと一緒にレベルアップしていけます。
◆同じ症状でも患者さんの立場によって治療法やリハビリテーションの仕方、復帰タイミングも変わっていくスポーツ外傷。本書を読めば、「学校の部活でちょっと足をひねっちゃったので診てください」「(きっと捻挫だろう)とりあえず湿布だしておきますね。また来週」こんな処置にはもうなりません。
◆スポーツドクターだけではなく、整形外科の先生や外傷を診るプライマリケア医の先生にもおすすめです!
CASE1 頭を打ち,一瞬記憶が飛びました(17歳 サッカー 男性)
CASE2 歯が抜けました(15歳 サッカー 男性)
CASE3 転んで肩を打ち腕が上がりません(17歳 サッカー 男性)
CASE4 胸を強く打ちました(21歳 サッカー 男性)
CASE5 手首を痛めました(10歳 サッカー 男性)
CASE6 ボールが当たり,指が伸びません(18歳 サッカー 男性)
CASE7 指が引っかかり,手の甲が痛いです(22歳 サッカー 男性)
CASE8 腰が痛いです①(17歳 サッカー 女性)
CASE9 腰から地面に落ちました(14歳 サッカー 男性)
CASE10 腰が痛いです②(12歳 バドミントン 女性)
CASE11 腰痛とお尻から足の痛みがあります(16歳 サッカー 男性)
CASE12 サッカーでキックをしたら股関節が痛くなりました(13歳 サッカー 男性)
CASE13 ダッシュしたら,もも裏がビリッとしました(17歳 陸上 男性)
CASE14 踏ん張ったときにお尻の奥のほうが痛いです(16歳 サッカー 男性)
CASE15 膝がゴリっと鳴りました(16歳 サッカー 女性)
CASE16 膝の前側が痛いです①(12歳 サッカー 女性)
CASE17 膝の前側が痛いです②(8歳 バドミントン 男性)
CASE18 膝をひねってゴリゴリと音がしました(18歳 サッカー 女性)
CASE19 膝が伸びません(21歳 サッカー 男性)
CASE20 膝が内側に入ってブチッと音がしました(21歳 サッカー 男性)
CASE21 脛が痛いです(16歳 サッカー 女性)
CASE22 ふくらはぎがブチッといいました(21歳 サッカー 男性)
CASE23 足首をひねりました①(17歳 バスケットボール 男性)
CASE24 足首の後ろが痛くて踊れません(17歳 クラシックバレエ 女性)
CASE25 捻挫がなかなか治りません(17歳 サッカー 女性)
CASE26 足首をひねりました②(15歳 柔道 男性)
CASE27 足が痛いです(26歳 ランニング 女性)
CASE28 踏ん張ったら足が痛くなりました(21歳 サッカー 男性)
CASE29 踵が痛いです(10歳 サッカー 男性)
CASE30 アキレス腱が痛いです(17歳 バスケットボール 男性)
幼少時からサッカー狂だった私は,高校時代に2度の大怪我を経験したことをきっかけに,スポーツドクターという職の存在を知り,それに憧れ医学部受験を決意した。そんな私が医師国家試験に合格し進んだのは日本ではスポーツドクターの王道ともいえる「整形外科」の道であった。
私が師事した池田浩先生(当時ジェフユナイテッド市原・千葉チームドクター,現日本サッカー協会スポーツ医学委員会委員長)に,研修医時代の私はこう尋ねた「スポーツドクターになるには何を勉強すれば良いですか?」。先生はこう答えた「まずは整形外科医として一人前になること。目の前の一人ひとりの患者さんを大切にすることから始めなさい」。また,こうも言われた「選手との信頼関係を築くのは日々の積み重ねであり長い時間がかかる。でも,信頼を失うのは一瞬だぞ」。早くスポーツ現場に出たくて仕方がなかった当時の私は逸る気持ちを抑えながら,日々の診療に励みつつスポーツ医学に関する本を買い漁り座学に励んだ。
日々の臨床研修に従事するいっぽうで,週末などには時間をつくってはサッカーの現場(練習や試合会場)にボランティアでおもむき,怪我した選手の対応を続けてきた。怪我人がひとりもいない日もあれば,複数の重症者が出る日もあった。時には先輩ドクターの診察に同行するチャンスもあり,そんなときは一挙手一投足を細かに観察し,診察技法や対応の仕方,選手や監督とのコミュニケーションの取り方も肌で感じることができた。自分にとっては,スポーツ現場や先輩ドクターが「スポーツ医学の教科書」そのものであった。
時代は平成から令和にかわり,多様性が尊重されるとともに秘密保持の規制も強くなった。コロナ感染症の流行に伴いスポーツ医学の現場への部外者の同行も制限されている。さらに,スポーツ医学を志す若手医師は大学病院などでの勤務が多く,「スポーツ外傷のプライマリケアに触れる機会が得られにくい」のが現状である。
この本は,現場での臨床経験をつむことが難しいこのような社会背景を鑑みて,スポーツ現場に若手医師が赴いて遠隔の指導医とともに診療にあたるというシチュエーションを想定して作られた。系統だった教科書ではなく「患者の主訴から診断を導いていく」過程を若手医師と指導医の会話形式で記したものであり,若手ドクターだけではなく,指導にあたる上級医師にも知識の整理ができるよう留意した。医学は日々進歩しておりこの本に記された内容が将来変わる可能性もある。執筆担当医師の経験に基づきご執筆いただいたため,読者の皆さんが内容に偏りや物足りなさを感じる箇所もあるかもしれないが,その際は成書も参考にしながら読み進めて頂きたい。
最後に,多忙な日常診療の中ご執筆いただいた,いわきFCクリニックドクターの皆様にこの場を借りて感謝を申し上げたい。また,これまで小生のスポーツドクター活動をサポート頂いた順天堂大学整形外科・スポーツ診療科および順天堂大学整形外科同門会の諸先生方,ジェフユナイテッド市原・千葉およびいわきFCスタッフの皆様に感謝するとともに,私のスポーツドクター人生を支えてくれている家族に感謝の意を表したい。
この本を手にした読者の皆さんが,スポーツ医療現場で遭遇する患者の訴えを聞いた際に,この本から得た情報が少しでも役に立てば幸いである。
齋田良知
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。