編集: | 神保勝一(神保消化器内科医院) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 336頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2008年10月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-4036-3 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
腹痛の部位別に、頻度の高い疾患をマップにして列挙し、それぞれの疾患につき、腹痛の性状、重要な問診項目、鑑別すべき疾患、診断につながる所見、治療の流れ等を簡潔に記載しています。診療基本編、腹痛部位編、疾患治療編の三部構成で、外来において頻度の高い訴え「腹痛」を診察する際に必要な事項をすべて網羅。若手からベテランまで、内科医が手元に置いておきたい一冊です。
日常診療において腹痛は受診機会の最も多い症状のひとつである。また、腹痛は、内科や外科のみならず小児科、婦人科、泌尿器科と多岐にわたる診療科に関係する症状でもある。それゆえ、腹痛は診療科を超えた多くの疾患を含むためその診断にしばしば苦悩する場合が多いのである。臨床の最前線で患者を診療する医師ならば腹痛を訴える患者の診断に困られたことが多々あると推測される。腹痛の訴えとは実は単独の臨床症状ではなく、患者が一番悩んでいる、あるいは困っている表に現れた最も激しい臨床症状のひとつであって、それに随伴する多くの症状や年齢、性別などを手がかりにしなければ容易に確定診断がつかないのである。患者は、腹痛と言えば医師はたちどころに診断し治療できるかと思っている節がある。腹痛はそんなに生易しい症状ではないのである。重大な疾患を見逃さないためにも、一刻も早く確定診断を得るためにも、系統的診断法を理解し、わがものとする必要がある。
そこで、このたび、内科、外科の主として消化管・消化器疾患を専門とする著名な先生方にご執筆を依頼し「腹痛」をキーワードとしてどのような疾患を考えるか、確定診断に至る臨床検査、鑑別すべき疾患は何か、さらに見逃してはならない疾患などを簡潔に記載して頂いた。さらに、他科の専門へ紹介するタイミングや転送しなければならない疾患なども示して頂いた。内科や外科の消化器疾患を専門とする医師であっても循環器、呼吸器、泌尿器、婦人科の知識も要求されるので、この方面はそれぞれ専門科の指導医的な、かつまた著名な先生方にお願いして、考慮しなければならない疾患、診断の手順、鑑別診断、紹介のタイミング、治療などを記述して頂いた。診断にあたっては、臨床家がすぐに理解し、応用しやすいように要領よくかつポイントを外さない記載をお願いした。
本書が臨床の現場に置かれ、虎の巻のように活用されれば「腹痛」の診療がさらに充実したものになるであろうと確信している。
平成20年9月
神保勝一