編集: | 日本医師会( ) |
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監修: | 中村 丁次(神奈川県立保健福祉大学教授) |
判型: | B5判 |
頁数: | 516頁 |
装丁: | 口絵カラー |
発行日: | 2008年10月15日 |
ISBN: | 978-4-7849-4102-5 |
版数: | 第3版 |
付録: | - |
いかにバランスよく食べるか。そのための基礎知識を献立も含めて平易に解説。各疾患ごとに好ましい食品と好ましくない食品の目安表をつけ、患者へも適切な食事指導ができるよう工夫。話題のメタボ対策やメタボ対策としての肥満解消、減量指導について、また特定健診・保健指導等々を含め、診療の場ですぐに役立つ最新の栄養情報も多数収載しました。
診療科: | 医学一般 | 輸液・栄養・食品 |
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シリーズ: | 日本医師会生涯教育シリーズ |
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カラー口絵;栄養素のゆくえ
第1章 座談会・日本人の食事と栄養を考える
第2章 食事指導のための基礎知識
1. エネルギー代謝
2. 炭水化物(糖質)
3. 脂質
4. たんぱく質
5. ビタミン
6. ミネラル
7. 食物繊維
8. 水
9. 食塩
10. コレステロール
11. アルコール
12. 栄養素以外の食品成分
13. 食品の特徴と食品群の分類
14. 食事・栄養評価法
15. 食事摂取基準
16. 健康日本21,食生活指針,食事バランスガイド
第3章 栄養成分別の食事管理
1. 栄養成分別食事管理の意義
2. エネルギーコントロール食
3. たんぱく質コントロール食
4. 脂質コントロール食
5. 減塩食
6. 流動食,軟食,易消化食
アドバイス&トピックス 栄養成分調整特殊食品と栄養成分補給調整食品
第4章 疾患別食事指導の実際
1. 心不全
2. 高血圧
3. 脂質異常症
4. 脳卒中
5. 虚血性心疾患
6. 慢性呼吸機能不全
7. 肝疾患
8. 胆石症
9. 膵 炎
10. 胃・十二指腸潰瘍
11. 便秘,下痢
12. クローン病・潰瘍性大腸炎
13. 糖尿病
14. 肥満症
15. メタボリックシンドローム
16. や せ
17. 先天性代謝異常症
18. 貧 血
19. 痛 風
20. 膠原病
21. 食物アレルギー
22. 骨粗鬆症
23. 神経性食欲不振症
24. 慢性腎不全(保存期)
25. 慢性腎不全(透析期)
26. 慢性糸球体腎炎,その他の腎疾患
27. 糖尿病性腎症
28 ネフローゼ症候群
29. 小児肥満
30. 消化管術後
31. 褥瘡
第5章 ライフステージ別食事指導の実際
1. 妊娠前半期・後半期
2. 乳幼児
3. 学童および思春期
4. 成人期(生活習慣病予防)
5. 高齢者
第6章 外食の栄養バランス
外食の上手なとり方
第7章 臨床医のための最新栄養情報
特定健康診査・特定保健指導
制度面
指導の実際
食事の正しい食べ方
食事と運動
ストレスと食生活
単身赴任者の食生活,特に外食について
嗜好品と健康
栄養素や薬の消化・吸収・代謝における相互作用
がんの予防食
咀嚼・嚥下困難な人の食事
サプリメント
栄養健康ドリンク
保健機能食品と病者用特別用途食品
NST
在宅訪問栄養食事指導
栄養ケア・マネジメントと入院栄養管理
静脈栄養・経腸栄養
免疫と栄養
遺伝と栄養
宅配治療食
減量の基本原則
民間の痩身術
低エネルギー甘味料の上手な使い方
加工食品の功罪
超低カロリー食療法または半飢餓療法
セルフ・アセスメント
索 引
第3版発行によせて
平成3年、本書が日本医師会生涯教育シリーズとして刊行された背景には、健康、ひいては食生活に対する国民の著しい関心の高まりがあった。食事はQOLを左右する重要なものであり、健康と食生活は切っても切れない関係にあることは誰もが承知しているが、誤った知識が独り歩きしていることも少なくない。
近年、国の施策として生活習慣病予防に重点が置かれ、以前にも増して健康と食事に関する知識・指導が医療者に求められるようになっている。発症を防ぎ健康な生活を維持・増進するために、また、疾病に対する治療の一環として正しい食事指導を行うことは重要である。
本書は、日常診療での食事指導の指針としていつでも活用できるよう、初版の編集方針を貫きつつ最新の情報を提供すべく改訂を行ってきた。平成14年の改訂第2版から6年が経ち、食事療法をはじめとするいくつかの進歩・変化があって、今回改訂第3版を刊行するに至った。改訂第3版の主な変更は次のとおりである。
1 座談会:出席者を一部変更し、最新の話題を盛り込んだ内容に一新。
2 食事指導のための基礎知識:「健康日本21」など、知っておくべき項目を追加。食品成分の五訂増補への統一。
3 栄養成分別の食事管理:「アドバイス&トピックス 成分調整特殊食品」の内容の見直し。
4 疾患別食事指導の実際:「メタボリックシンドローム」「クローン病・潰瘍性大腸炎」をはじめ、必要と思われる項目の追加。
5 外食の栄養バランス:実際に広く利用されているカレーやコンビニ弁当などを現実に即して追加。
6 臨床医のための最新栄養情報:現在考えられる最新の情報・動向に改稿。
以上の事柄をはじめとする細かい改訂作業にご尽力を賜った中村丁次先生、また新たにご執筆いただいた先生方に感謝の意を表したい。
なお、初版・改訂第2版において監修の労をお執りいただいた故五島雄一郎先生にも改めて深甚の意を奉げたい。
平成20年7月
日本医師会常任理事(生涯教育担当)
飯沼 雅朗
第3版 序
本書が日本医師会雑誌の臨時増刊号として発刊されてからすでに17年という歳月が流れた。多くの医学書が、その急速な進歩によって耐用年数の短縮を余儀なくされるなかで、本書が17年を経過した今日も多くの読者に愛用され、版を重ねている事実は驚異的であるとさえ言える。この間、空腹感覚や摂食行動などといった食に関わる科学的な解明は大いに進んだが、食事指導の基本はほとんど変わっていないと言えよう。
平成20年4月から、特定健康診査・特定保健指導が義務付けられ、各都道府県では医療費適正化計画が策定されることになった。この制度は、メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)という近年の医学的知見をふまえてつくられた。こうした医学的な用語が、同制度における腹囲測定の必須化と連動し、肥満の同義語となり、「メタボ」と省略され、流行語にもなった。
メタボリックシンドロームは、世界保健機関によって提唱されたものであるが、糖尿病、高血圧症、脂質異常症を縦割りではなく、包括的にとらえる概念であり、その共通の項目として肥満が位置付けられた。
わが国では食生活の欧米化が言われて久しく、がんでは胃がんが減少し、肝臓がん、大腸がん、結腸がんなどが増えている。また、遺伝子のうえでは、欧米人に比較し、少量のカロリーオーバーが耐糖能異常や糖尿病と結びつく可能性が高いと言われ、これが、わが国における糖尿病患者およびその予備群1,800万人という背景要因となっている。
教育における食事の位置付けを重視した「食育」や、日本的造語である「医食同源」など、わが国には、食事を健康と病気予防の視点からとらえる思想を広げようとする動きはすでに始まっている。世界のあらゆる食材がそろっているデパートの食料品売り場がある一方で、平成20年に公表された日本の食料自給率が39%という寒々しい現実もある。食事と健康という視点からは、一見無関係にみえるこれらの事柄についても、実は地球規模の大きな循環のなかでとらえていくことが必要ではないだろうか。
病気の治療の基本は薬物療法であるが、それと同様に重要な位置を占めているのが運動指導や食事指導である。1日3食の食事習慣を大切にすることで、健康・予防・治療の動機付けをすることは、医師の重要な責務である。
健康食ブームのなか、国民(患者)は、日々押し寄せる洪水のような情報のなかで何を基準に判断すればよいかが難しくなっている。こうした状況の下、医師や医療関係者が適切なアドバイスを行うことが求められているが、そんなときこそ、本書は羅針盤として大いに役立つものと確信する。
平成20年7月
日本医師会会長
唐澤祥人