【質問者】 杉本 研 川崎医科大学総合老年医学教授
【同定と総合機能評価に基づく原因推論,非薬物療法が鍵である】
高齢者の食欲不振は広義にanorexia of agingと呼ばれます。anorexia of agingはフレイルの要因のひとつと考えられますが,同時にフレイルも食欲不振の一因となりえますので,高齢者の医療・介護・生活支援という点において食欲不振は無視できない症状であると言えます。食欲不振は栄養状態の悪化,そして続発する合併症,生活機能低下につながります。早期に食欲不振を同定し,アプローチすることが必要です。
食欲不振を的確に同定することがアプローチの第一歩です。食欲不振は主観的なものと考えられがちですが,自覚していない食欲不振(食事摂取量不足)も見逃せません。リッカート尺度やVisual Analog Scale(VAS)を用いると,自覚している主観的な食欲不振を評価することができます。また,Simplified Nutritional Appetite Questionnaire(SNAQ)などの信頼性が検証済みであるスクリーニングツールでは,全般症状だけでなく,満腹感,味覚の変化,気分の変化といった多角的な視点で評価できます。
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