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成人期に入ったフォンタン型手術の問題点【心房壁が高い静脈圧にさらされ続けることで成人期に再手術が必要になることがある】

No.4911 (2018年06月09日発行) P.53

菅野幹雄 (徳島大学心臓血管外科)

北川哲也 (徳島大学心臓血管外科教授)

登録日: 2018-06-08

最終更新日: 2018-11-28

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フォンタン型手術は,1971年にFontanらにより三尖弁閉鎖症に対する機能的修復術として報告された1)。機能的単心室類似疾患に広く用いられるが,多くが成人期に至り,現代では「いかにして健康寿命を長く維持するか」が焦点となっている。手術法としては,73年のKreutzerらによる心房─肺動脈吻合,88年のde Levalらによる心房壁をlateral tunnelとして下大静脈血流を肺へ導くtotal cavopulmonary connection(TCPC)を経て,90年にMarcelletiらによって開発された心外導管型TCPCが現代の主流となっている。

手術後は,種々の程度で静脈圧の上昇をきたす。その程度が強いと長期的には肝線維化や蛋白漏出性胃腸症などの合併症をきたしうる。また,初期の心房壁を用いた手術では,心房壁が高い静脈圧にさらされ続け,成人期に心房性頻脈性不整脈と肺血栓塞栓症が発症し,再手術となることがある。Backerらはそれらに対し,心外導管型TCPCへ変換すると同時にメイズ手術を施行する,としている2)。妊娠と出産ならびにfailed Fontanに対する心臓再同期療法,補助循環と心移植も今後の課題である。

現在はePTFE人工血管を用いた心外導管型TCPCが好んで用いられるが,長期的な人工血管の硬化や狭窄を危惧する意見もあり,tissue engineered graftの開発研究も進んでいる。

【文献】

1) Fontan F, et al:Thorax. 1971;26(3):240-8.

2) Backer CL:Semin Thorac Cardiovasc Surg Pediatr Card Surg Annu. 2017;20:33-7.

【解説】

菅野幹雄*1,北川哲也*2 *1徳島大学心臓血管外科 *2同教授

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