厚生労働省は25日、免疫アレルギー疾患研究戦略検討会(山本一彦座長)の初会合で、アナフィラキシーや重症薬剤アレルギーによる死亡者をゼロにするなどとした免疫アレルギー疾患研究戦略の方向性を提示した。必要な財政措置については来年度予算の概算要求を行うとしている。研究戦略は9月下旬にも取りまとめ、来春から取り組みをスタートする予定。
アレルギー疾患対策を巡っては、基本法(2015年施行)に基づき、昨年3月に定められた基本指針で「疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究の中長期的な戦略策定について検討を行う」と明記された。研究戦略の策定はこれを踏まえたもの。
研究戦略は10カ年を想定している。厚労省は、「先制治療等を目指す免疫アレルギーの本態解明に関する基盤研究開発」「免疫アレルギー研究の効果的な推進と評価に関する横断研究開発」「ライフステージ等免疫アレルギー疾患の特性に注目した重点研究開発」の3つの柱を提示。これらの研究の推進により、アナフィラキシーや重症薬剤アレルギーによる死亡者の根絶、免疫アレルギー患者数の減少、国内外での産学官民連携による国際的研究開発基盤の確立、プレシジョン・メディシン(精密医療)の実現、ライフステージに応じた医療、国民の協力・参画を目指すとしている。患者が研究グループの一員として主体的に加わるPatient Public Involvement(PPI:患者・市民参画)の推進も厚労省の研究戦略では初めて盛り込まれる。
天谷雅行構成員(慶大)は、患者数減少という目標について、症状をコントロールできていても患者に含まれることから、「アレルギーに苦しんでいない時間などファクターを設定し、数値化することが必要でなないか」と提案した。
厚労省は構成員からの意見も踏まえ、研究戦略を策定する方針。