株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

男性更年期障害(LOH症候群)の実臨床における診断・治療

No.4927 (2018年09月29日発行) P.59

松川宜久 (名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学講師)

福原慎一郎 (大阪大学大学院医学系研究科泌尿器科講師)

登録日: 2018-09-26

最終更新日: 2018-09-25

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 最近,倦怠感やイライラしやすい,やる気が出ないなど,男性更年期障害(late onset hypogonadism:LOH症候群)が疑われる症例を多く見かけます。実臨床における男性更年期障害の診断や治療の適応判断,実際の治療法などについて,大阪大学・福原慎一郎先生にご教示頂きたいと思います。

    【質問者】

    松川宜久 名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学講師


    【回答】

    【11.8pg/mL未満の男性ホルモン低下傾向群を,テストステロン補充治療の対象とする】

    LOH症候群は,加齢によるテストステロン値の低下と,それに伴う臨床症状からなる症候群と定義されています。テストステロン値の低下は性機能の低下だけではなく,筋力低下,内臓脂肪の増加,骨塩量の低下,心血管機能や内分泌代謝機能の低下,抑うつ,睡眠障害など,多臓器の機能障害を起こすことが知られており,高齢化社会を迎えた現在,中高年男性のQOLを低下させる一因となっています。

    加齢によるテストステロン値の低下に起因する臓器機能低下をテストステロン補充により予防し,QOLの高い生活を維持できるようにすることがLOH治療の目的です。テストステロンの生理的効果は多臓器に及び,そのため,症候群を形成する各症状が発現するテストステロンの閾値が症状ごとに異なる可能性があるため,LOH症候群の診断とテストステロン補充の基準値については,依然として明らかでない点も多いです。またテストステロンの感受性に個人差が存在し,さらにLOH症候群の各症状は他の原因によっても起こりうるため,他の疾患・原因との鑑別が必要であることが診断の困難さの原因となっています。

    残り661文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top